旅の変化が決めた、私のカメラ最適解。トラベルライターが行き着いた機材構成
会社員のかたわら、トラベルライターとして活動を始めてから、気づけば7半年が経ちました。振り返れば、旅のスタイルも、仕事も、そして人生そのものも大きく変わってきたように思います。
独身だった頃の身軽な自転車旅、旅と仕事を兼ねながら写真を撮る時期、子どもが生まれて家族中心になった今——その変化のそばには、いつもカメラがありました。

「この機材構成が正解だ」と言えるものは、正直ありません。ただ、その時々の“自分にとって最適解”は存在したと言えるでしょう。
今回この記事を書こうと思ったのは、機材レビューをしたいからではありません。旅と仕事、ライフステージの変化に合わせて、どんな基準でカメラやレンズを選んできたのか。その軌跡を一度ちゃんと残しておきたいと思ったからです。
これは、トラベルライター 土庄雄平が行き着いた、今時点での機材構成の備忘録です。
目次
撮影機材・レンズ一覧(2026年7月時点)
【カメラボディ】5台
- FUJIFILM X-H2(APS-C)
- FUJIFILM X-S10(APS-C)
- Canon EOS 6D Mark II(フルサイズ)
- Canon EOS 80D(APS-C)
- Canon EOS 9000D(APS-C)
【レンズ】13本
- FUJINON XF16-80mm F4 R OIS WR
- FUJINON XC15-45mm F3.5-5.6 OIS PZ
- SIGMA 16-300mm F3.5-6.7 DC OS(Contemporary)Xマウント
- Canon EF70-200mm F2.8L IS II USM
- Canon EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM
- Canon EXTENDER EF2X III
- SIGMA 20mm F1.4 DG HSM(Art)EFマウント
- SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM(Art)EFマウント
- SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM(EFマウント)
- SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM(EFマウント)
- TAMRON SP24-70mm F2.8 Di VC USD G2(EFマウント)
- TAMRON 18-400mm F3.5-6.3 Di II VC HLD(EFマウント)
- Fringer FR-FX20(EFマウント/Xマウント)
【コンデジ】6台
- RICOH GR IV
- RICOH GR IIIx HDF
- LUMIX DC-TZ99
- OLYMPUS TG-5
- FUJIFILM FinePix SL1000
- GoPro HERO9 BLACK
カメラのスタートはCanonだった

カメラを始めたのは2017年のこと。学生時代から自転車旅が好きで、日本各地を気ままに走っていたが、当時はもっぱらスマホ撮影でした。
スマホの写真も手軽できれいではありましたが、いつしか旅先で出会う風景や空気感を「もっと鮮明に残したい」と思う気持ちが強くなっていきました。
そんなタイミングで出会ったのが、当時の彼女(現在の妻)でした。彼女が愛用していたのはCanon EOS 80D。その姿に影響を受け、私も一眼レフカメラに興味を持つようになりました。
彼女からEOS 80Dを勧められたものの、社会人になりたての自分には少し背伸びな選択肢でした。

最終的に手に取ったのは、展示品特価で販売されていたCanon EOS 8000D。後にトラベルライターとして活動するなかで、初代の相棒となった一台です。
購入してすぐEOS 8000Dを携えて、学生時代から何度も通った大好きな小豆島を訪れました。一眼レフで切り取った風景の写りは想像以上で、その美しさに思わず息をのんだことを覚えています。
旅行や日常の外出のたびに、彼女に教わりながらマニュアル撮影を覚えていきました。一眼レフならではの鮮やかさや、臨場感のある写りに、気づけばすっかり魅了されていたように思います。
身につけた知識は、すぐに自転車旅で実践投入。いつしか撮ることそのものが、旅の大きな楽しみになっていきました。
標準ズーム→便利ズームが正義に

最初に使っていたのは、レンズキットに付属していたCanon EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM。
Canonらしい鮮やかな色のり、安定した描写、そして使いやすい画角レンジ。どれを取っても完成度の高い一本で、不満はほとんどありませんでした。
ただ、旅先で感じた「もっと先まで写したい」「あの道の向こうの景色まで残したい」という欲求には、少しずつ限界を感じるようになります。
正直「もう少しズームできれば、旅先でのありのまま感動を切り取れたかもしれない…」と思うことが何度もありました。

トラベルライターとしての活動が軌道に乗ってきたことも、大きな転機だったように思います。トラベルライターは、文章だけでなく写真も撮れて当たり前の職業。
表現の幅を広げるため、単焦点レンズSIGMA 20mm F1.4 DG HSM(Art)や、大三元レンズTAMRON SP24-70mm F2.8 Di VC USD G2、SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM(Art)なども試しましが、最終的に行き着いた価値観は「対応力こそ正義」でした。
確かに単焦点や高級レンズの方が写りは良いです。しかし刻々と変わる旅先の状況で、レンズ交換の余裕はありません。また、なるべく荷物を減らしたい自転車旅では交換レンズを持参するのも限界があります。
結果として、便利ズームレンズTAMRON 18-400mm F3.5-6.3 Di II VC HLDに落ち着きました。自転車旅や登山はこのレンズ一択。2台持ちの旅でも「便利ズーム相当の画角」を起点に、レンズ構成を考えていました。
超広角という飛び道具が欲しくなる

便利ズームレンズを使いこなす一方で、どうしても“飛び道具”が欲しくなる瞬間があります。その代表格が超広角レンズです。
初めてSIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSMを使ったとき、あの圧倒的な画角で切り取られる世界に一気に引き込まれました。
ただし、超広角はそれ自体が独立した存在で、便利ズームとは相入れません。言い換えれば、便利ズームではどうしても網羅できない領域が、超広角なのです。

そこで導入したのが、OLYMPUS(現・OM SYSTEM)のアウトドアカメラの名作TG-5。自転車旅や登山など過酷な環境でもガシガシ使え、水中撮影までマルチでこなすタフさが魅力です。
なかでも決め手になったのが、フィッシュアイコンバーターFCON-T02。35mm判換算で8mm相当の画角は、まさに別次元。便利ズームでカバーできない超広角域を補完しつつ、高温多湿で、濡れるリスクがある温泉での撮影も定番になりました。
現時点でTG-7が最新モデルですが、スペックにほぼ差がないため買い替えは検討していません。画素数が1,600万画素ほどに上がり、TG-8が出るならば考えるかも。
将来的なカメラシステム変更を模索

2017年にCanon EOS 8000Dを手にした頃、一眼レフ市場はまだ活況でした。しかし5年も経つと状況は一変します。SONYのαシリーズが一気に台頭し、CanonやNikonといった二強メーカーもミラーレスへ大きく舵を切ります。
気づけば一眼レフのボディラインナップは大幅に縮小され、将来のカメラシステムをどうするか、真剣に考えざるを得なくなりました。2026年7月現在、一眼レフの生産はほぼ終息しつつあります。

そこで購入したのが、FUJIFILMのXシリーズです。当時フラグシップとして発表されたばかりのX-H2と、サブ機としてX-S10を迎え入れました。
その一方で、Canonのボディは、EOS 6D MarkⅡとEOS 80D、EOS 9000Dと3台もあり、まだまだ第一線で活躍中。中でもEOS 6D MarkⅡは、トラベルライターとしての初めての大型案件の報酬を全額投入して購入した思い出深い一台です。
そして、シャッター幕が擦り切れた初代相棒・EOS 8000Dの後継として迎え入れたのがEOS 9000Dです。

Canon EF70-200mm F2.8L IS II USMや、SIGMA 20mm F1.4 DG HSM(Art)、SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM(Art)など、今なお魅力が色褪せないレンズが手元には多くあります。
だからこそ、Canonのカメラシステムは無理に手放さず、EFマウントのレンズ資産をできる限り活かしたい。そこで導入したのがFringerのマウントアダプター。EFマウントのレンズをFUJIFILMでも使える体制を整えました。

FUJIFILMを選んだ理由は、①フルサイズにこだわりがない、②フィルムシミュレーションによる多彩な表現、③Xマウントの便利ズームレンズ(SIGMA、TAMRON)の選択肢が増えてきたこと、④SONYよりリーズナブルで仕事道具として扱いやすい、という点です。
今でも仕事ではCanonを使うことが多いが、FUJIFILMのボディは生産数が少なく、モデルチェンジも早い分、資産価値が出やすい点も魅力に感じています。すでに生産終了しているX-S10の中古価格は、初値を超えています。
Canonは純正のマウントコンバーターもあるため、最終的にはCanon RFマウントへ移行する可能性も、ゼロではありません。
日常を軽やかに、上質に残すためのコンデジ

子どもが生まれ、旅のスタイルも変わった。アウトドア志向の旅は減ったものの、家族旅行の機会は増えてきました。
以前のような「何でも撮れる万能さ」は必須ではなくなり、より軽く上質に、ピンポイントで思い出を残せるカメラに惹かれるようになりました。そこで2025年は、多くのコンデジを購入する年になったように思います。

中でも、長く付き合える一台として選んだのがRICOH GR IVとGR IIIx HDF。発売時には手に入れることができなかったが、その後の争奪戦を勝ち抜き、なんとかGR IVを手にすることができました。
まだそれほど使い込めてはいませんが、その描写力・表現力の素晴らしさには思わず唸らされます。
GRシリーズは中古市場でも高い人気を誇り、購入時を上回る価格で取引されることも少なくありません。使い倒しながらも価値を維持しやすい点は、このカメラならではの大きな魅力と言えるでしょう。

一方、一眼レフやミラーレスを持ち出さなくても事足りる万能機として活躍しているのが、LUMIX DC-TZ99。
トラベルズームの名に恥じない守備範囲で、簡単な取材はこれ一台で完結します。写りは当然フルサイズやAPS-Cに及びませんが、仕事道具としては十分な描写力です。
そして嬉しい誤算はマクロズーム性能の高さ。高山植物をこれほど鮮明に残せることに、正直驚かされました。
ライフステージとともに最適解は絶えず変わる

現時点での結論を一言で言うなら、当たり前のことかもしれませんが、全部を一台でやろうとしないことだと思っています。かつては便利ズーム一本で、すべてを撮り切ることに価値を感じていました。
ですが、荷物の制限から解放され、かつてのように万能性を求めなくなった今は、用途ごとにカメラへ役割を持たせたほうが、結果的に満足度も高く、何より楽しいと感じています。

仕事では今まで通り信頼性の高いCanonと、表現の幅が広く、撮っていて楽しいFUJIFILMを使い分ける。
旅ではRICOH GRやLUMIX TZ99のような軽快なコンデジをサブ機として投入し、時にはメイン機にする。
一方、過酷な環境や飛び道具的な役割はOLYMPUS TG-5が担う。

カメラは嗜好品であり、仕事の相棒であり、そして思い出を刻む装置でもあります。正解は人それぞれで、ライフステージが変われば最適な機材もまた変わっていくものです。
だからこそ、その時々で機材構成を見直し、自分に合った答えを探し続けるのだと思います。今たどり着いたこの機材構成も、きっとひとつの通過点に過ぎません。
新しいカメラやレンズと出会い、そのたびに悩み、試し、少しずつ自分らしい形へとアップデートしていく。その過程さえ楽しめるようになったことが、今の自分にとって一番の収穫なのかもしれません。

