暮らしのすぐそばにある自然を伝える。田中陽希さん、鈴木一路さんと「TOYOTA CITY TRAIL CROSSING」に登壇

こんにちは!トラベルライターの土庄です。2026年9月、地元・豊田市で開催された「TOYOTA CITY TRAIL CROSSING Vol.1『INSPIRATION 暮らしのすぐそばにあるフィールドへの招待状』」に、田中陽希さん、鈴木一路さんとともにゲストとして登壇しました。
当日は、豊田市出身のトラベルライターとして、これまで全国を旅してきた経験をもとに、豊田市の山や自然、身近なフィールドの楽しみ方についてお話ししました。今回は、当日の講演内容を振り返りながら、私が改めて感じた豊田市の魅力をご紹介します。
目次
田中陽希さん、鈴木一路さんとともに登壇

今回ご一緒したのが田中陽希さんと鈴木一路さんです。
田中陽希さんは、日本三百名山を一筆書きで踏破したプロアドベンチャーレーサー。登山をしている方なら、一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。鈴木一路さんも、ロングトレイルをこよなく愛する方です。そんなお二人と、同じゲストとして登壇する機会をいただきました。
お二人が山やロングトレイルの魅力を伝えるなかで、私からは、地元・豊田市出身のトラベルライターとして、もっと日常に近いところから自然の魅力を紹介しました。
全国を旅して、初めて気づいた豊田市の魅力

講演では、まず私自身と豊田市との関わりについてお話ししました。
私が思う豊田市の魅力を一言で表すなら、「ちゃんと働いて、ちゃんと遊べるまち」です。
自動車産業の中心地として、多くの企業や働く場が集まっている一方で、街の中心部から10分〜1時間ほど車を走らせれば、本格的な自然の中へ入っていける。産業と自然、その両側面がこれほど充実している地域は意外と珍しく、豊田市の大きな魅力だと感じています。

私は豊田市の山間部で生まれ育ちました。高校時代は豊田市の中心部まで通学していましたが、当時は山登りをするわけでもなく、地元の自然を特別意識していたわけではありません。
その後、大学進学で京都へ。自転車で全国を旅するようになり、そこから登山にもハマっていきました。京都も三方を山に囲まれたまちで、大学の講義前に、まだ日が明けない時間から自転車で山へ向かい、ヒルクライムをしてから大学へ行くこともありました。

振り返ってみると、この頃に「都市部から山へ、ふっと身を投じる」という自然との付き合い方を経験していたのだと思います。その後、トラベルライターとして活動するようになり、愛知県へ戻ってきました。
そしてコロナ禍をきっかけに、改めて地元・豊田市を見るようになりました。遠方への旅行が難しくなり、近場を旅する「マイクロツーリズム」が広がった時期。私自身も豊田市を歩き直してみると、これまで当たり前すぎて気づかなかった自然の魅力が、実にたくさんあることに気づきました。
豊田市なら「まず半日」から山を楽しめる

今回の講演では、登山の楽しみ方についてもお話ししました。
私自身、登山を始めてから何年も経ち、独身時代には年間50座以上登っていた年もあります。ただ、家庭を持ってからは山へ行く頻度も少し減りました。
それでも、山通いの趣味は変わりません。最近は近所の山をさっと歩いて、景色を眺めたり写真を撮ったり。下山後は温泉に入り、地元でご飯を食べて帰る。そんな手軽な山旅を楽しんでいます。豊田市には、実はこうした楽しみ方ができる山がたくさんあります。

登山というと「山頂まで登らなければ」と考えがちですが、必ずしも山頂を目指す必要はありません。季節の花を見たり、景勝地を歩いたり、途中で立ち止まって景色を眺めたり。まずは半日だけ、運動不足解消くらいの気持ちで歩いてみる。それくらいの気軽さでも、十分に山を楽しめると思います。
さらに、山歩きの後に温泉やグルメを組み合わせれば、楽しみ方はもっと広がります。「登山をしに行く」というより、「山を含めて、その地域で一日遊ぶ」ーーそんな感覚で、豊田市の自然へ出かけてもらえたらと思っています。
実は、豊田市は四季を通じて面白い

講演では、豊田市の四季の風景についても紹介しました。
春には、上中のしだれ桃や猿投山山麓の桃、緑化センターの桜など。豊田市の春の風景は、全国的に見てもかなりレベルが高いと思います。なかでも魅力なのが、花だけではなく、人の暮らしや農村、山間集落の景観と一緒に楽しめることです。

夏になると、つどいの丘のツツジや藤の回廊、緑の香嵐渓など、一気に色鮮やかな風景へと変わります。つどいの丘のツツジは、斜面いっぱいに花が咲く「花壁」が見どころ。バイクや車と一緒に写真を撮る人も多いので、愛車との一枚を狙ってみるのもおすすめです。

そして、紅葉の名所として知られる香嵐渓ですが、私がおすすめしたいのは初夏。生命力あふれる緑に囲まれながら、比較的涼しく、人も少ない時期に、いつもとは違う香嵐渓を楽しめます。
秋になると、小原の四季桜や香嵐渓、大井平公園などが見頃を迎えます。大井平公園では、赤と黄色の紅葉が折り重なるように広がり、まるで絵画の中に入り込んだような景色を楽しめます。

そして冬には、寧比曽岳や面ノ木園地の霧氷、押山の雲海、湧水広場の氷瀑。標高の高い山で見られるイメージのある霧氷も、豊田市では条件が合えば見ることができます。青空と白く凍った木々のコントラストは、思わず言葉を失うほどの美しさです。
こうして並べてみると、豊田市には四季折々の美しい風景が本当にたくさんあります。登山をしなくても、身近な場所で豊かな自然を楽しめるのも、豊田市の魅力の一つです。
個人的におすすめしたい「稲武の山旅」

今回、特にご紹介したかったのが稲武エリアです。「どんぐりの湯」と聞くと、場所のイメージがつきやすいかもしれません。
豊田市中心部から車で1時間ほど。それでいて、かなり山深い場所まで入っていけます。しかも、片道10分ほどで登れる気軽な山から、数時間かけてじっくり歩く山まで、選択肢が豊富です。

例えば寧比曽岳。豊田市の最高峰で、大多賀峠から往復約2時間です。冬には霧氷を見ることもできますし、早朝なら、運が良ければカモシカに出会えることもあります。カモシカって、出会うとこちらをじっと見つめてくれるんですよね。
夏焼城ヶ山は、大井平公園から山頂を目指すことができます。山頂からは白山や御嶽山を望むことができ、立派な展望台もあります。地元の方にも親しまれている山で、山麓のシャクナゲや、夏の緑もきれいです。

大栗山は、どちらかというと知る人ぞ知る山です。山頂よりも、夏になると道中で見られるオオキツネノカミソリの群落で知られています。苔や樹林帯を眺めながら歩く、しっとりとした神秘的な雰囲気が魅力の山です。
そして押山は、登山口から片道10分ほど。雲海の名所としても知られています。朝、日が明ける前に登って、コーヒーを飲みながら日の出を待ち、雲海を眺める。そんな過ごし方もいいですよね。

個人的には、こういう「ちょうどいい山」が豊富なのが、稲武の面白いところだと思っています。そして、山だけで終わらないのもいいところです。例えば、夏焼城ヶ山を歩いた後に温泉に入り、最後に地元のお店でご飯を食べて帰る。
今回の講演では、そんな「登山+温泉+食」を組み合わせた一日の過ごし方も紹介しました。半日でも、山を歩いて、温泉に入って、ご飯を食べる。3つ揃うと、かなり充実した休日になります。
山に行くと、思わぬ一生モノの出会いもある

そして、個人的に豊田市の自然について伝えたかったことが、もう一つあります。
それが「自然は人とのつながりを生む」ということ。私自身、登山を始めてから、山で知り合った方と仲良くなり、今では親友と呼べるような関係になった経験があります。山では、普段の仕事や肩書きはあまり関係ありません。「この山が好き」「次はあの山に登りたい」ーーそんな共通点が一つあるだけで、初対面でも話が始まります。

豊田市には、仕事をするために市外から引っ越してきた方もたくさんいると思います。そういう方が、休日に山を歩いたり、自転車に乗ったり、アウトドアを楽しんだりする。そこで新しい友人ができる。自然は単なる「遊び場」ではなく、豊田市で暮らす人たちの新しいつながりを生む場所にもなるとお話ししました。
豊田市を「働く場所」から「好きな場所」へ

最後に、今回の講演で一番伝えたかったことについて。それは、豊田市を「働く場所」だけではなく、「好きな場所」にしてほしいということです。
豊田市といえば、どうしても自動車産業のイメージが強い。私自身も、昔はそうでした。でも、全国を旅するようになり、改めて地元を見てみると、豊田市にはこんなにも豊かな自然があるんだと気づきました。今では、休日に山間部へ出かけて、自然を撮影することも増えました。

仕事で豊田市に来た方にも、ぜひ休日に少し足を伸ばしてみてほしいと思います。山へ行ってもいい。自転車で走ってもいい。温泉に入って、地元のご飯を食べてもいい。何か一つ、自分なりの「好きな場所」を見つけてもらえたら嬉しいです。
今回、このような機会をいただき、改めて地元・豊田市の魅力について考えることができました。そして、田中陽希さん、鈴木一路さんというお二人と同じステージに立てたことも、とても嬉しい経験でした。
これからも全国の旅先を歩きながら、そして自分の暮らす愛知・豊田市も歩きながら、「行ってみたい」「ちょっと歩いてみようかな」と思ってもらえるような発信を続けていきたいと思います。

